人工授精(IUI)の基本|費用・成功率・体外受精との違い
人工授精(IUI)の仕組みや費用、成功率を解説。体外受精との違いや、何回で次のステップに進むべきかもわかりやすく紹介します。
📑 目次
「不妊治療、どこから始めればいいんだろう」「人工授精って、どんなことをするの?」
病院で「人工授精を試してみましょうか」と言われて、戸惑っている人も多いかもしれません。タイミング法の次のステップとして提案されることが多いIUI(人工授精)ですが、体外受精とは何が違うのか、どれくらいお金がかかるのか、成功率はどのくらいなのか——気になることはたくさんありますよね。
この記事では、人工授精の基本的な仕組みから費用、成功率、そして「何回まで続けるべきか」という現実的な判断基準まで、できるだけわかりやすく整理してみました。
人工授精(IUI)ってどんな治療?
人工授精は、精子を子宮の中に直接注入する治療法です。英語では「Intrauterine Insemination」、略してIUI。
自然妊娠では、精子は腟から子宮頸管を通って子宮へ、さらに卵管まで泳いでいきます。でも、精子の数が少なかったり、子宮頸管の粘液が精子を通しにくかったりすると、卵子まで辿り着くのが難しくなる。そこで「元気な精子を選んで、子宮の入口をショートカットさせてあげよう」というのが人工授精の考え方です。
当日、採取した精液を病院で処理して、運動性の高い精子だけを集めます。それを細いチューブで子宮内に注入する——処置自体は数分で終わります。痛みはほとんどないか、軽い生理痛のような感覚がある程度。
受精や着床は、あくまで自然に任せます。だから「人工」といっても、体外受精(IVF)のように卵子を取り出したりはしません。
どんな人に向いているの?
人工授精が選択肢になるのは、こんなケースです。
軽度〜中等度の男性不妊
精子の数がやや少ない、運動率が低めといったケースです。洗浄・濃縮によって運動性の高い精子を選別できるので、自然妊娠よりも確率が上がることがあります。
頸管因子が疑われる場合
排卵期に頸管粘液が十分に分泌されない、抗精子抗体があるといった場合も、頸管を通過させる必要がないIUIは有効です。
原因がはっきりしない機能性不妊
半年〜1年ほどタイミング法を試しても妊娠しなかったとき、ステップアップの第一段階として提案されることが多い印象です。
一方、卵管が詰まっていたり、精子の状態が重度に悪い場合は、人工授精では難しいため、最初から体外受精が勧められることもあります。
費用はどれくらいかかる?
人工授精は、2022年4月から保険適用になりました。
保険適用の場合、自己負担は約5,000〜6,000円が目安(3割負担)。ただし、排卵誘発剤や注射、検査などを含めると、トータルで1〜3万円ほどかかることが一般的です。
保険適用には条件があります。
- 法律上の夫婦であること
- 女性の年齢が43歳未満であること
- 回数制限あり(通算で年齢に応じて上限が設定されている)
自費診療の場合は、1回2〜5万円ほど。病院によって料金設定がかなり違うので、事前に確認しておくと安心です。
ちなみに、排卵誘発をどこまで使うかでも費用は変わります。飲み薬だけならコストは抑えられますが、注射を使う場合は1周期で数万円プラスになることも。
成功率は?何回やるべき?
これがいちばん気になるところですよね。
人工授精の妊娠率は1回あたり5〜10%程度と言われています。思ったより低い、と感じるかもしれません。でも、自然妊娠でも1周期あたりの妊娠率は20〜30代で約20〜30%、タイミング法で10〜15%程度と言われているので、そこと比べてどう考えるかは人それぞれです。
累積で見ると、3〜6回までに妊娠する人が多いというデータがあります。6回を超えると、それ以上続けても妊娠率はあまり上がらないという報告も。
実際、多くの医療機関では「5〜6回を目安に、次のステップ(体外受精)を検討しましょう」という方針をとっています。もちろん年齢や体の状態、精神的・経済的な負担なども含めて、パートナーと相談しながら決めるのがベストです。
個人的には、「ダメだったらすぐやめる」ではなく、ある程度の回数は続けてみる覚悟と、「ここまで」というラインを事前に決めておくことが大事だと思います。
体外受精(IVF)との違いは?
「じゃあ最初から体外受精にしたほうがいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。
大きな違いは、体への負担・費用・妊娠率のバランスです。
| 人工授精(IUI) | 体外受精(IVF) | |
|---|---|---|
| 方法 | 精子を子宮に注入 | 卵子を取り出して受精させ、胚を子宮に戻す |
| 費用 | 1回 数千円〜2万円 | 1回 10〜20万円(自費なら30〜60万円) |
| 体への負担 | 軽い | 採卵や排卵誘発で負担大 |
| 成功率 | 5〜10%/回 | 30〜40%/回(年齢による) |
体外受精のほうが妊娠率は高いですが、排卵誘発が強めになるので副作用のリスクもあるし、採卵の処置も必要。精神的にも、経済的にも負担が大きい。
だからこそ、まずは体への負担が少ない人工授精から始めて、それでうまくいかなければ体外受精へ——というステップが、多くの人にとって現実的な選択肢になっているんだと思います。
ただし、年齢が高め(38歳以上)だったり、卵巣機能が低下している場合は、時間を優先して最初から体外受精を勧められることもあります。これも医師とよく相談してみてください。
人工授精を受けるときの心構え
不妊治療って、どうしても「今回こそ」という期待と、「またダメだったら」という不安の繰り返しになります。
できれば、パートナーとしっかり話し合って、「まずは3回やってみよう」「半年続けてみて、そこで考え直そう」といった目標を共有しておくといいかもしれません。一人で抱え込まないこと。
それから、病院選びも大事。仕事との両立がしやすいか、先生やスタッフの雰囲気が自分に合っているか。不妊治療は長くなることもあるから、「ここなら通い続けられる」と思える場所を見つけることも、意外と重要です。
参考文献
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よくある質問
- Q. 人工授精(IUI)の1回あたりの費用は?
- 保険適用(3割負担)で約5,000〜6,000円。排卵誘発剤や検査を含めると1〜3万円程度になることが一般的です。
- Q. 人工授精の成功率はどれくらい?
- 1回あたりの妊娠率は5〜10%程度。複数回の累積で効果が上がり、4〜6回で見切りをつけるのが一般的です。
- Q. 人工授精と体外受精の違いは?
- 人工授精は精子を子宮に注入し受精は体内で自然に行われます。体外受精は卵子を取り出し体外で受精させます。
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この記事を書いた人
白滝由紀フェムケア研究所 編集長
🏅 日本フェムテック協会認定フェムテックアンバサダー
フェムケア領域の情報発信に携わるライター(29歳女性)。女性の健康課題について、信頼できるエビデンスに基づいた情報をわかりやすく届けることを目指しています!


