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更年期のイライラ・落ち込み|感情の波との付き合い方
ホルモン・更年期

更年期のイライラ・落ち込み|感情の波との付き合い方

些細なことで怒ってしまう、理由もなく涙が出る。更年期のメンタル症状はホルモン変化が原因です。感情の波を乗りこなすための具体的な方法を紹介します。

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📑 目次

「さっきまで普通だったのに、急にイライラして家族に当たってしまった」「何でもないのに涙が止まらなくて、自分でもびっくりした」

40代後半から50代にかけて、こんな経験をする人は少なくありません。更年期の症状というと、ホットフラッシュや肩こりがよく知られていますが、実は「心の変化」で悩む人も同じくらい多い。

わたし自身、友人から「最近なんか、自分じゃないみたいで怖い」と相談されて、あらためてメンタル症状の深刻さを実感しました。本人が一番つらいのに、周りからは「更年期だから仕方ない」って片付けられてしまうことも多いんですよね。

なぜ更年期に感情が揺れるのか

更年期に感情が不安定になる最大の理由は、エストロゲンの急激な低下です。

エストロゲンは女性ホルモンとして有名ですが、実は脳内の神経伝達物質にも深く関わっています。特に、セロトニンという「心の安定」に関わる物質の分泌を助けているんです。

エストロゲンが減ると、セロトニンも減る。すると、感情のコントロールがうまくいかなくなる。イライラしたり、気分が落ち込んだり、急に不安になったり。これは気持ちの問題じゃなくて、ホルモンバランスの変化によるなんです。

他にも更年期には以下のような要因が重なります:

  • 睡眠の質が下がる(夜中に何度も目が覚める)
  • 疲れやすくなる
  • 仕事や家庭でのストレスが増える時期と重なる
  • 子どもの独立、親の介護など、ライフステージの変化

身体的なホルモン変化に、環境的なストレスが乗っかって、心がキャパオーバーになってしまう。そう考えると、「感情が揺れて当然」なんですよね。

よくあるメンタル症状

更年期に現れやすい心の症状は、人によってさまざま。代表的なものを挙げてみます。

イライラ
些細なことで怒鳴ってしまう、普段なら気にならないことが許せない。自分でも「なんでこんなに怒ってるんだろう」と思うけど、止められない。

落ち込み
理由もなく悲しくなる、やる気が出ない、何をしても楽しくない。朝起きるのがつらい日が続く。

不安感
漠然とした不安に襲われる、胸がざわざわする。「このまま老いていくのが怖い」といった実存的な不安を感じることも。

涙もろさ
テレビを見て泣く、思い出し泣きをする。感情のコントロールが難しくなって、涙が勝手に出てくる感じ。

集中力低下
仕事が手につかない、人の名前が出てこない。「認知症かも」と心配になる人もいますが、ホルモン変化による一時的なものがほとんど。

ひとつだけ出る人もいれば、複数が入れ替わり現れる人もいます。波があるのも特徴で、「今日は調子いい」と思ったら翌日どん底、みたいなことも。

セルフケアで心を整える

メンタル症状がある=すぐ病院、というわけではありません。日常生活のなかで工夫できることも、けっこうあります。

生活リズムを整える

まずは睡眠。エストロゲン減少で寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりしやすくなるので、意識的に睡眠環境を整えましょう。

  • 寝る前のスマホを減らす
  • 部屋を暗くする、温度を快適に保つ
  • 夕方以降のカフェインを控える

地味だけど、睡眠の質が上がると感情の揺れも落ち着くことが多い。

身体を動かす

運動はセロトニンを増やす効果があります。激しいトレーニングじゃなくていい。ウォーキング、ストレッチ、ヨガ、ラジオ体操。

個人的には、朝の散歩がおすすめ。日光を浴びることでセロトニンが分泌されやすくなるし、頭がすっきりします。

「書き出す」で感情を整理

イライラや不安が止まらないとき、紙に書き出してみると楽になることがあります。誰に見せるわけでもないので、思いつくまま殴り書きでOK。

感情を言語化すると、「ああ、こういうことで怒ってたのか」と客観視できて、少し距離が取れるんですよね。

無理に頑張らない

「いつもの自分」を演じようとすると、余計につらくなります。今は調子が悪い時期なんだ、と認めて、できることを減らしてもいい。

家事を手抜きする、外食を増やす、仕事の優先順位を見直す。周りに「更年期でちょっときついから」と伝えられる相手がいるなら、伝えてみるのもひとつの手です。更年期の友人との付き合い方についても、あわせて読んでみてください。

カウンセリングや薬物療法という選択肢

セルフケアで改善しない、日常生活に支障が出ている、という場合は、専門家の力を借りるのも大切。

婦人科・更年期外来

まずは婦人科で相談するのがおすすめ。血液検査でホルモン値を測定して、更年期かどうかを診断してもらえます。

治療としては、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬が選択肢に。HRTは更年期症状全般に効果が期待できるし、漢方は心の症状に向いているものもあります。

心療内科・精神科

落ち込みが強い、不安で眠れない、といった場合は、心療内科や精神科で相談する方法もあります。抗うつ薬や抗不安薬が処方されることがあり、症状が軽くなる人も多い。

「精神科に行くのは抵抗がある」という人もいるかもしれませんが、更年期のメンタル症状で受診する人はたくさんいます。専門医のサポートを受けることで、ぐっと楽になることも。

カウンセリング

話を聞いてもらうだけで気持ちが整理されることもあります。臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングは、薬に頼りたくない人にも向いている選択肢。

最近はオンラインカウンセリングも増えているので、気軽に試しやすくなりました。

「自分を責めない」がいちばん大事

更年期のメンタル症状で一番つらいのは、「自分はダメな人間だ」と責めてしまうこと。

家族に当たってしまった自分、何もできない自分、前はできてたのに今はできない自分。そんな自分を許せなくて、さらに落ち込む。

でも、繰り返しますが、これはホルモンの変化による自然な反応です。風邪を引いたときに「根性が足りない」と自分を責めないのと同じように、更年期のメンタル症状も「自分のせい」じゃない。

症状が出てるときの自分を「今はこういう時期」と受け入れて、できるだけ優しく接してあげてほしい。完璧じゃなくていい。ちょっとずつ、自分のペースで。

更年期は永遠に続くわけじゃありません。ホルモンバランスが落ち着けば、心の状態も安定してきます。それまでの期間を、うまく乗り切る方法を見つけていきましょう。


参考文献

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よくある質問

Q. 更年期にイライラや落ち込みが起こる原因は?
エストロゲンの減少によりセロトニンの分泌が低下し、感情のコントロールが難しくなる身体的な変化が原因です。
Q. 更年期のメンタル症状にはどんなものがありますか?
些細なことでの怒り、理由のない落ち込み、漠然とした不安、涙もろさ、集中力低下などが代表的な症状です。
Q. 更年期の感情の波を和らげるセルフケア方法は?
睡眠環境を整え、朝の散歩でセロトニンを増やし、イライラや不安を紙に書き出して感情を整理するのが効果的です。
白滝由紀

この記事を書いた人

白滝由紀

フェムケア研究所 編集長

🏅 日本フェムテック協会認定フェムテックアンバサダー

フェムケア領域の情報発信に携わるライター(29歳女性)。女性の健康課題について、信頼できるエビデンスに基づいた情報をわかりやすく届けることを目指しています!

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