生理の貧困(ピリオドポバティ)|日本の現状と支援の動き
生理用品を買えない「生理の貧困」。日本でも深刻化している実態と、学校や自治体の支援、私たちにできることをまとめました。
📑 目次
「生理用品が買えない」――そんなこと、日本で起きてるの?と思う人もいるかもしれません。でも2021年、日本の10代・20代女性の約2割が「金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した経験がある」という調査結果が発表され、大きな話題になりました。
コロナ禍をきっかけに注目された「生理の貧困(ピリオドポバティ)」。一時的なブームではなく、今も続いている社会課題です。
生理の貧困とは
生理の貧困とは、経済的な理由で生理用品を十分に買えない、あるいは入手できない状態のこと。イギリスで問題視され始めた概念で、日本では「Period Poverty(ピリオドポバティ)」という英語名でも知られています。
単に「ナプキンが買えない」だけの話ではありません。生理用品を買うお金がないために、学校や仕事を休まざるを得ない。トイレットペーパーやティッシュで代用して健康を損なう。友達付き合いを避けるようになる。そういう連鎖が起きています。
月に数百円の出費。でもその数百円が、誰かにとっては重い。
日本の実態――調査データから見える現状
2021年3月、NPO法人「#みんなの生理」が実施したオンライン調査(10〜40代の約5,000人対象)では、こんな結果が出ています。
- 若年層(10〜20代)の約20%が「金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した経験がある」
- そのうち約35%が「他のもので代用した」
- 約27%が「交換頻度を減らした」
別の調査では、大学生の約5人に1人が「生理用品を買うお金に困ったことがある」と回答。一人暮らしの学生、シングル家庭、非正規雇用で働く若い女性に、特に深刻でした。
コロナ禍で収入が減った。バイトのシフトが削られた。親からの仕送りが途絶えた。そんな状況で、生理用品は「削れる支出」として優先度を下げられてしまう。でも生理は、止められない。
学校や自治体の支援
この問題が可視化されてから、全国の自治体や学校で支援が広がっています。
学校のトイレに無料配置
東京都をはじめ、多くの自治体が小中学校・高校のトイレに生理用品を設置する取り組みを始めました。保健室に取りに行くのは恥ずかしい、という声に応える形で、個室トイレに直接置くスタイルが主流です。
生徒からは「助かる」「安心して学校に来られる」という声が多い一方で、「すぐなくなってしまう」「いたずらで大量に持っていかれる」といった課題も。運用方法は試行錯誤が続いています。
自治体の窓口での配布
市役所や保健センター、公共施設などで、生理用品を無料配布する自治体も増えました。申請不要で気軽に受け取れるよう工夫している地域もあります。
ただ、配布場所が平日昼間しか開いていない、受け取るのに勇気がいる、といった声もあり、本当に困っている人に届いているのかは課題です。
NPOや企業による寄付活動
「#みんなの生理」や「全国こども食堂支援センター・むすびえ」など、NPO団体が生理用品を集めて必要な人に届ける活動も。企業からの寄付や、フードバンクと連携した配布など、多様な支援の形が生まれています。
わたしたちにできること
「支援は行政や企業がやること」と思いがちですが、個人でもできることはあります。
寄付する
使わなかった生理用品を、寄付を受け付けている団体や施設に送る。買いすぎて余っているナプキン、意外とありませんか?未開封なら、誰かの役に立ちます。
話題にする
「生理の貧困」を知らない人は、まだ多い。SNSでシェアする、友達と話してみる。それだけで、社会の意識は少しずつ変わっていきます。
身近な人に気づく
もし周りに「最近元気ないな」「学校休みがち」という人がいたら、もしかしたら生理で困っているのかもしれない。直接聞くのは難しいけれど、「そういえば学校のトイレにナプキン置いてあるらしいよ」と情報を伝えるだけでも、救いになることがあります。
見えにくいからこそ、声を上げる
生理の貧困は、見えにくい問題です。困っていても、なかなか言い出せない。でも確実に存在しています。
支援の動きは広がっているけれど、まだ十分とは言えない。一時的なキャンペーンで終わらせず、継続的に支えていく仕組みが必要です。
「月に数百円くらい」と思うかもしれない。でもその数百円が、誰かの尊厳を守り、未来を変える。生理の貧困は、健康の問題であり、教育の問題であり、人権の問題でもあります。
わたしたちができることは、小さいかもしれない。でも、知ること。話すこと。気にかけること。それが、変化の第一歩になる。
📖 このテーマの全体ガイド: 生理とPMS完全ガイド
参考文献
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よくある質問
- Q. 生理の貧困とはどういう状態ですか?
- 経済的な理由で生理用品を入手・継続使用できない状態を指します。日本では経済的困窮に加え、知識不足・入手ルートの少なさ・スティグマ(恥ずかしさ)なども障壁となっています。
- Q. 日本で生理の貧困を支援する制度はありますか?
- 一部の自治体・学校・NPOが生理用品の無料配布や補助を行っています。2021年以降、国・自治体の支援策が広がりつつあります。お住まいの市区町村の窓口や保健センターに相談してみてください。
- Q. 生理の貧困への取り組みを支援する方法はありますか?
- NPO団体への寄付・生理用品の物品寄付・SNSでの啓発活動などが個人でできる支援です。職場での「生理用品設置」の働きかけも貢献の一つです。
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この記事を書いた人
白滝由紀フェムケア研究所 編集長
🏅 日本フェムテック協会認定フェムテックアンバサダー
フェムケア領域の情報発信に携わるライター(29歳女性)。女性の健康課題について、信頼できるエビデンスに基づいた情報をわかりやすく届けることを目指しています!

