性交痛の原因と対処法|セルフケアで様子を見ていいとき・受診すべきとき
性交痛の原因は乾燥だけではありません。骨盤底筋の緊張や婦人科の病気まで、原因別のセルフケアと受診の目安をわかりやすく解説します。
📑 目次
セックスの最中、痛みを笑ってごまかしたり、言い出せずにそのまま終えてしまったり。心当たりのある人、実は少なくないはずです。
先に言っておきたいのは、性交痛は「我慢するもの」でも「体質だから仕方ない」でもないということ。原因はいくつかのパターンに分かれていて、それぞれ対処のしかたも違います。順番に見ていきましょう。
性交痛、実はよくある悩み
日本産婦人科医会の情報提供ページ「相談されないと対応しない性交痛のケア」では、米国の閉経後女性を対象にした調査を引用し、44%が性交痛を、55%が膣の乾燥感を自覚していると紹介されています。そのうえで、そのうち約7割は医療者にこの悩みを相談していないとも指摘されていました。
年代や国が違えばそのまま日本の数字には当てはまりませんが、「痛みを感じているのに黙っている人が多い」という構図は、たぶん日本でも似たようなものだと思います。個人的には、これだけ多くの人が経験しているはずなのに、情報があまり流通していないこと自体が少しおかしいと感じています。
原因は一つじゃない
性交痛とひとくちに言っても、原因はけっこう分かれます。自分がどのパターンに近いか、当てはめながら読んでみてください。
乾燥・潤滑不足
いちばんシンプルで、多くの人に当てはまりやすいのがこれです。前戯の時間が足りない、緊張している、生理周期や授乳期でホルモンが変動している——理由はいろいろですが、粘膜が十分に潤う前に挿入すると摩擦で痛みが出ます。デリケートゾーンの乾燥が気になる…原因と保湿ケアのコツにも書きましたが、乾燥は年齢を問わず起こりえます。
骨盤底筋の緊張
無意識に力が入ってしまい、膣の入り口が締まって挿入しづらい・痛いというパターンです。過去の痛い経験がトラウマになって、体が先に構えてしまうこともあります。骨盤底筋トレーニングのやり方|尿漏れ・膣のゆるみを自宅で改善する方法は「ゆるみ」対策のイメージが強いですが、力の入りすぎをゆるめる方向のケアも骨盤底筋へのアプローチのひとつです。
膣萎縮
更年期が近づくとエストロゲンが減少し、粘膜が薄く・硬くなって萎縮していきます。潤いも弾力も失われやすいので、性交時の痛みにつながりやすくなる。授乳期にも、ホルモンの状態が近くなって似たような変化が起きることがあります。
子宮内膜症などの婦人科の病気
日本産科婦人科学会の解説によると、子宮内膜症の患者の9割に月経痛がみられ、排便時や性交時に痛みを伴うこともあるとされています。奥のほうがズーンと痛む、生理の前後に特に強くなる、というときは子宮内膜症とは?生理痛がひどい人に知ってほしい症状と原因も参考にしてみてください。
外陰部の皮膚疾患
かゆみや白っぽい変化を伴う場合は、硬化性苔癬(こうかせいたいせん)とは?かゆみ・白斑の原因と治療のような皮膚の病気が隠れていることもあります。見た目の変化に気づいたら自己判断せず、皮膚科や婦人科で診てもらったほうがいいです。
心理的な要因
体に異常が見つからないのに痛い、というケースもあります。過去の経験、パートナーとの関係性、漠然とした不安——原因が「体」ではなく「気持ち」にあることも珍しくありません。ここを「気のせい」で片付けないでほしいなと思います。痛みは痛みとして、ちゃんと存在しているので。
セルフケアでできること
すぐに婦人科というのはハードルが高い、という人向けに、まず試せることをいくつか。
- 前戯の時間を十分にとる。焦らないことがいちばんの近道だったりします
- 乾燥や摩擦が原因っぽいなら、潤滑ゼリーの選び方ガイド|成分・pH・使い心地で比較を参考に、自分に合うものを探してみる。ただし潤滑ゼリーはあくまで摩擦を減らすためのもので、痛みの原因そのものを治すわけではないので注意してください
- 体位を変える、挿入の深さを調整するなど、痛みが出にくいやり方を探る
- パートナーに「痛い」とちゃんと伝える。伝えづらいのはわかりますが、我慢して続けるほうが長期的にはしんどいです
正直、セルフケアだけでどうにかなる範囲には限界があります。数回試しても変わらないなら、次のステップに進んだほうがいいです。
こんなサインがあれば、様子を見ずに受診を
- 毎回、どの体位でも痛む
- 痛みがだんだん強くなっている
- 性交後に出血する
- 性交以外のときもお腹の奥が痛む
- おりものの色やにおいがいつもと違う
- かゆみや皮膚の変化を伴う
このどれかに当てはまるなら、婦人科の出番です。婦人科が怖い人へ|初めての受診で聞かれること・持ち物・内診の流れにも書きましたが、性交痛は婦人科で普通に相談していい症状です。特別なことでも、恥ずかしいことでもありません。
最後に
性交痛について調べていて感じたのは、原因がこんなに分かれているのに、ひとまとめに「我慢するもの」扱いされがちだな、ということです。乾燥のせいかもしれないし、体の緊張かもしれないし、病気が隠れているかもしれない。原因が分かれば、対処のしかたも見えてきます。
ひとりで抱え込まず、パートナーにも、必要なら婦人科にも、ちゃんと話してみてほしいです。
参考文献
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よくある質問
- Q. 性交痛の原因は乾燥以外に何がありますか?
- 乾燥や潤滑不足のほか、骨盤底筋の緊張、膣萎縮、子宮内膜症などの婦人科の病気、外陰部の皮膚疾患、心理的な緊張など、原因は一つに絞れないことが多いです。
- Q. 潤滑ゼリーを使えば性交痛は治りますか?
- いいえ、潤滑ゼリーは乾燥による摩擦を減らすためのものであり、痛みの原因そのものを治療するものではありません。使っても痛みが続く場合は、婦人科で原因を調べてもらうことをおすすめします。
- Q. 性交痛はどのくらい様子を見ていい?受診の目安は?
- 毎回痛む、痛みがだんだん強くなる、出血を伴う、性交以外のときも下腹部が痛むといったサインがあれば、様子を見ずに婦人科を受診してください。
この記事を書いた人
白滝由紀フェムケア研究所 編集長
🏅 日本フェムテック協会認定フェムテックアンバサダー
フェムケア領域の情報発信に携わるライター(29歳女性)。女性の健康課題について、信頼できるエビデンスに基づいた情報をわかりやすく届けることを目指しています!
