膣内フローラって知ってる?乳酸菌で守るデリケートゾーンの自浄力
膣の中にも腸と同じように善玉菌が住んでいるって知っていましたか?膣内フローラのバランスが崩れると、かゆみやにおいの原因に。乳酸菌の働きと整え方を解説します。
📑 目次
「腸内フローラ」はよく聞くけれど、「膣内フローラ」って聞いたことありますか?
実は、膣の中にも腸と同じように、たくさんの細菌が住んでいます。その数、なんと数億〜数十億個。そして、その細菌バランスが整っているかどうかで、デリケートゾーンの健康が大きく左右されるんです。
「最近なんかにおう気がする」「生理前後にかゆくなる」「おりものの様子がいつもと違う」……そんな違和感、もしかしたら膣内フローラの乱れかもしれません。
膣内フローラって何?
膣内フローラとは、膣の中に生息している細菌の集まりのこと。腸内フローラと同じように、善玉菌・悪玉菌・日和見菌がバランスを取りながら存在しています。
ラクトバチルスは乳酸を作り、膣内の酸性環境に関わる細菌です。ただし「健康なら全体の90%」と一律には決められません。Ravelらの研究(2011年)では、無症状の女性でもラクトバチルスが優位な群と、そうではない群が見られました。
弱酸性って聞くと「肌に優しい」というイメージがあるかもしれませんが、膣内では少し意味が違います。ただ、酸性なら感染症を防げるわけではありません。CDCの診療指針(2021年)では、カンジダ膣炎は正常範囲のpH(4.5未満)でも起こると説明されています。
つまり、膣は自分で自分を守る「自浄作用」を持っている。その主役が、乳酸菌。
乳酸菌が減るとどうなる?
膣内の乳酸菌が減って、悪玉菌が増えてしまうと、こんなトラブルが起きやすくなります。
においが強くなる
乳酸菌が減ると、悪玉菌が作り出すアンモニアや揮発性の物質が増えて、生臭いにおいや魚っぽいにおいの原因に。
かゆみは菌の割合だけでは判断できない カンジダ膣炎ではかゆみや赤み、チーズ状のおりものが見られますが、これらはカンジダだけに特有の症状ではありません。乳酸菌が減ったかどうかや、pHだけで自己診断せず、婦人科で原因を確認してください。
細菌性膣症(BV)
ラクトバチルスが減って雑菌が増えると、グレーがかったおりものや魚臭いにおいが特徴の細菌性膣症になることも。放置すると、早産や不妊のリスクにつながるケースもあるので注意が必要です。
どうして膣内フローラは乱れるの?
膣内フローラが乱れる原因は、意外と身近なところにあります。
洗いすぎ
外陰部を強くこすると、皮膚への刺激になります。一方、膣の中を洗うことは細菌性膣症との関連が報告されています。外側を洗うことと膣内洗浄を区別し、洗浄料のpHだけで膣内の菌への影響を決めつけないでください。
膣の中まで洗う必要はありません。外側を優しく洗うだけで十分。
ストレスや疲れ
疲れている時期に症状が出ても、ストレスや睡眠不足だけが原因とは限りません。かゆみやおりものの変化を繰り返す場合は、休むだけで済ませず婦人科へ相談しましょう。
抗生物質の使用
風邪で抗生物質を飲んだ後に、膣カンジダになった経験はありませんか?抗生物質は悪い菌だけでなく、善玉菌も一緒に減らしてしまうので、フローラのバランスが崩れやすくなります。
ホルモンバランスの変化
生理前後、妊娠中、更年期など、女性ホルモンの変動が大きい時期は膣内環境も変わりやすい。特に閉経後はエストロゲンが減って乳酸菌が住みにくくなるので、フローラが乱れやすくなります。
日常でできるケアと、その限界
膣内の乳酸菌を自己流で増やすことを目標にせず、刺激を避けるケアから考えます。
洗いすぎを避ける
膣の中は洗わず、外陰部だけをぬるま湯で優しく洗うのが基本です。ソープを使う場合は低刺激のものを選び、しみる・かゆいなどの刺激を感じたら使用を中止してください。
洗うときは泡でやさしく。ゴシゴシこすらない、膣の中まで洗わない、が基本です。
通気性のいい下着を選ぶ
ムレは悪玉菌の大好物。綿やシルクなど、通気性のいい素材の下着を選ぶだけで、環境がだいぶ変わります。スキニーパンツやストッキングの締め付けも、たまには休ませてあげて。
腸内環境も含めて体調を整える
腸内フローラと膣内フローラの関連を示す研究はありますが、腸内環境を整えれば膣内フローラも改善する、とまでは言えません。
ヨーグルトや発酵食品は食事として楽しめますが、食べたことで膣内の菌の割合や症状が変わるとは限りません。バランスのよい食事や休養は、あくまで全身の体調管理として考えましょう。
膣用の乳酸菌サプリメント
乳酸菌を含む製品もありますが、菌株や使い方によって研究結果は異なります。CDCの診療指針(2021年)は、カンジダ膣炎の治療にプロバイオティクスを使う十分な根拠はないとしています。
生理後や抗生物質の使用後だからと、自己判断で膣錠などを使うことは勧めません。再発するかゆみやおりものの変化は、まず婦人科で診断と治療方針を確認しましょう。
ストレスケアと睡眠
睡眠や休養は全身の体調管理として考えます。それだけで膣内フローラが安定したり、感染症を治療できたりするわけではありません。
体調管理と、症状があるときの診断・治療は分けて考えましょう。
こんな症状があったら婦人科へ
膣内フローラを整えるセルフケアは大切ですが、症状が出ているときは自己判断せず、婦人科を受診してください。
- おりものの色・におい・量がいつもと明らかに違う
- 強いかゆみや痛みがある
- 性交時に痛みや出血がある
- セルフケアを続けても改善しない
カンジダや細菌性膣症は、きちんと治療すれば治ります。「恥ずかしい」と思わずに、早めに相談してくださいね。
菌の割合だけを目標にしない
菌の割合を自己流で変えようとするより、症状の変化に気づくことが大切です。
膣内フローラの変化は、におい・おりものの変化や細菌性膣症などと関連することがあります。ただし、セルフケアだけで感染症を予防・治療したり、妊娠しやすさを高めたりできるとは限りません。症状が続くときは婦人科を受診してください。
洗いすぎない、ムレさせない、体調を整える。こうしたケアをしても膣内環境が必ず変わるとは限りません。乳酸菌っていうと「ヨーグルト食べればいい」みたいなイメージだけど、デリケートゾーンにも乳酸菌が関わることを、わたしも最初知ったときは驚きました。
自分の体をちゃんと知って、自分でケアできるようになると、なんだか自信がつく。そんな感覚、わたしは好きです。
参考文献
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Ravel J, et al. (2011). “Vaginal microbiome of reproductive-age women.” PNAS.
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CDC「Vulvovaginal Candidiasis — STI Treatment Guidelines, 2021」
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よくある質問
- Q. 膣内フローラとは何ですか?
- 膣内に生息する細菌の集まりです。ラクトバチルスが乳酸を作って酸性環境に関わることが多いものの、菌の種類や割合には個人差があり、健康な人で一律に90%を占めるわけではありません。
- Q. 膣内フローラが乱れる原因は?
- 膣内洗浄や抗菌薬の使用、ホルモンの変化などが膣内環境に関わることがあります。原因は一律ではなく、外陰部の洗い方や睡眠不足だけで説明できません。
- Q. 膣内フローラを整えるにはどうすればいい?
- 膣の中は洗わず、外陰部だけをぬるま湯で優しく洗い、蒸れを避けてください。専用ソープを使う場合も外陰部だけにし、刺激を感じたら使用を中止してください。気になる症状があるときは婦人科を受診しましょう。
この記事を書いた人
白滝由紀フェムケア研究所 編集長
🏅 日本フェムテック協会認定フェムテックアンバサダー
フェムケア領域の情報発信に携わるライター(29歳女性)。女性の健康課題について、信頼できるエビデンスに基づいた情報をわかりやすく届けることを目指しています!

